ケ・サラ・サラ

生活の記録

死なせてはならないという癖

息子が生まれてからかなり長い間(死なせてはいけない…!)という気持ちが強かった。たぶん小学生の内は明確にそう思ってすごしていた。ピリピリと緊張した気持ちを、世のお母さん方がどのくらいの期間同じように感じるのかわからないけど、私はかなり長らく抱えていたと思う。

息子はとても元気に生まれてきたし、3625gのビッグベイビーで体つきもしっかりしていて実際育て易かったのに。わたしは常に切迫していた。なぜそんなにも切羽詰まってしまったのかはわからない。子どもを産み育てることがどれだけ大変なのかを全く思い描いてなかった、産んだ後のことを何も想像していなかった、人間を育てるということに対してめちゃくちゃに無自覚だった、どれも当てはまり過ぎる。

とにかく死なせてはならないを死守した。なるべく普通に悟られないようにしていたけど、だだ漏れだった。心の中のぴりぴり感がようやく緩やかになったのは、高校生になるかならないかくらいだった気がする。

 

長い間そういう心理状態でいたためか、まもなく二十歳を迎える息子のことが病的に心配になる時がある。心に染み付いた癖なのだろうか。

 

昨日、息子はなかなか起きてこなかった。それを心の隅で気にしながら過ごしていた。お昼を過ぎ1時近くになってもまだ部屋のドアは閉じたままだ。いつもぱっと機嫌よく起きてくるし、前の日が遅くてもお昼を回るまで寝続けるなんて珍しいなぁ…。二度寝はある。リビングで安心したように眠りこけているとこちらもほっとする。今日はそうではない。

何日か前に雨の中びしょ濡れでバイトから帰ってきたし、もしかして風邪でもひいたのか、熱が出ていて起きてこれないのか、それとももうとっくに出かけてるのかもしれない…そうだったらいいけど…などとぐるぐる考えて、いやいやもう十分大きいのだし心配するには及ばないはず…とにかく眠いんだろう…と思い直したり。私の足音で起きてくるかもと廊下を行ったり来たりもした。

2時近くなって、ドアをコンコンコンとノックして名前を呼んでみた。返事はなかった。

 

…少し間を置いて、ドアをばっと開けた。ベッドからぼーんとはみ出した溌剌と健康そのものの伸びやかな脚だけが見えた。その大の字の大らかな寝相は元気の証ではないか。気が済んだ。ほっとしてシュークリームをもりもり食べた。